ドトールコーヒー全国トップの売上をあげた“商売の秘訣”とは

ライバルは、自己を磨いてくれる菩薩
親切は決して他人のためならず、相手を満足に生かせ
渡辺崋山の『商家の銘』
20年前、ドトールコーヒーショップの福井1号店をオープンするにあたってのことです。
商売の心構えを教えた渡辺崋山の『商家の銘』を通して、
仏教講師から「六度万行とは、日々の生活、仕事において実践してゆくものだ」と教えていただきました。
毎朝朝礼では、挨拶の練習とともに、その教えていただいたことをスタッフにも話し、団結をはかりました。
全国の店舗の中で最低の売上からスタートしましたが、1年経って軌道に乗り始めました。
そんな時、最大のライバルであるスターバックスの福井1号店が、同じショッピングタウンの敷地内に出店してきました。
20年前、その当時業界№1だったドトールの近くに、スターバックスが次々と出店していました。
いよいよ福井にもやってくるのか…。
「ドトールさん終わりだね、大変だね」
お客さんから毎日のように、面白おかしく言われ、潰されるのではないかと不安でした。
他の店は、スターバックスが出店してくると、平均2割から3割の売上が落ちていたからです。
それだけ落ちたら店の利益はなくなります。
どうしたらいいか。
ライバルが現れるということは、戦っている証拠。
戦っていない人に、ライバルは現れないものです。
矢も飛んでこないし、傷つくこともない。
そこで、講師から教えていただいた
「ライバルが現れたら、『もっと努力せよ』と、自己を磨いてくれる菩薩と拝んでゆくことが肝要である」
との言葉を、実際にお客さんやスタッフに言っていきました。
相手をけなすのではなく、
「スターバックスさんを見習って頑張ります。
ショッピングセンター全体が賑やかになればありがたいことです。
ライバルは自己を磨く菩薩です。努力します」
などなど。
すると、最初「何言ってんの、この人」と怪訝そうにしていた常連さんが、
「スタバに負けるな、我々のドトールを応援しよう」
という機運が高まってきて、協力してくれるように変わってきたのです。
そしていよいよスターバックスのオープン日がやってきました。
不安一杯でしたが、なんと、私の店も売上げが上がったのです。
それが、ショッピングセンターの本部の人や、ドトール本部でも話題になり、
「スターバックスが出店しても売り上げを上げた、奇跡の店。
福井のドトールだったら、どんな厳しい条件でも売り上げを出せる」
と言われるようになって、金沢の駅中、ショッピングセンター、富山の駅前からも出店依頼が次々と来るようになりました。
そして、全国のドトールの中でもトップの売上げを上げるようになったのです。
予想にもしなかったことが起こりましたが、それは、仏教講師から教えていただいたことを、その通り実行したからです。
ゴルフのタイガーウッズを復活させた影に、メンタルトレーニングと、仏教徒であった母親の影響があったと言われています。
2019年マスターズゴルフで復活の優勝を遂げたとき、タイガーは、ライバルのパットを「入れ、入れ」と心で言ったそうです。
普通は、「外れろ、外れろ」と思うものなのに、
タイガーはなぜ、ライバルのパットを「入れ、入れ」と心で思ったのか。
脳は「誰のことを言ったり、思ったりしているのか」までは理解できないそうです。
ですから、「外れろ」というネガティブな言葉は、自分に返ってくる。
自分の脳にダメージを与えるのです。
大リーガーの大谷翔平は「ライバルは自分自身」と言っていますが、これも同じことです。
他人とではなく、弱い自分、醜い自分の心と戦っている。
普通、ライバルや、ライバル店に対しては、
「転んでしまえ、潰れろ、焼けてしまえばいいのに」と思うものです。
しかし、それは二流・三流だと言っているようなもの。
仏教では“心が元”と教えていただきますが、いかに心の行いが大事であるかが知らされます。
一流になりたければ、他から一歩抜きん出るには、
ライバルが現れたら「『もっと努力せよ』と、自己を磨いてくれる菩薩」と拝んでゆくことです。

実践女子大学 家政学部被服学科 卒業。
中学高校の家庭科教師の免許を取得。
卒業後はアパレルメーカーのオンワード樫山に就職し、
西武百貨店本店にて営業販売。
その後、日本I BMに転職。
4人の子供を育てる中、
40才目前の時にドトールコーヒーショップのマネージャーに就任。
さらに3店舗のマネージャーとして7年勤めた。






